症状 |
1998年頃より、東南アジアより輸入されるグッピーの背びれ基部付近の体表が、白化するという病気が流行しました。症状が進行するに従い、患部は広がり鱗が落ちて潰瘍化します。また、病魚は水中を力なく泳ぎ、やがて死に至ります。シンガポール・マレーシアのグッピーの生産者は、この病気を「グッピー キラー」と呼び、恐れられています。 |
原因 |
白化した患部の粘液を顕微鏡で観察すると、ラグビーボールのような形をしたテトラヒメナ(Tetrahymena corlissi)という寄生虫が、多数認められます。このように本病気は、テトラヒメナがグッピーに寄生することにより、発生します。このテトラヒメナは、最初は体表に寄生していますが、やがて筋肉を経て内臓まで、侵入します。このため、東南アジアのグッピーの養殖池では、大量斃死することが確認されています。テトラヒメナの繁殖力は、旺盛で病魚に寄生したテトラヒメナの群体の一部が、魚体を離れ水中を浮遊した後、他の健康な魚に寄生します。また、この病気の患部が白く見えるのは、テトラヒメナが繁殖したために寄生部位の細胞が、死んでしまったために起こる現象です。 |
対策 |
魚に寄生したテトラヒメナを薬剤を用いて駆虫することは、困難です。よって、有効な治療方法はありません。しかしながら、水中を浮遊するテトラヒメナは、二酸化塩素で駆虫することができます。また、グッピーの輸出国であるシンガポールの研究者は、グッピーを輸送するときに、あらかじめ二酸化塩素を投薬することで輸送中のストレスによる本病気の発生を食い止めることができると発表しました。本病気の対策としては、まず、病魚らしき魚は隔離し水槽の水を約半分程度交換し、二酸化塩素25ppm薬浴を行い他の健康な魚への感染を食い止めることが肝要です。
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