たいせつな錦鯉の病気を知る・薬品をさがす。

診療所について

「飼育している錦鯉が病気かもしれない。どうしよう・・・」
「なんの病気だろう?」
「どの薬を使ったらいいんだろう?」

そんな時にご活用いただける『情報提供の場』として開設しております。
少しでも飼育者のご不安の解消に繋がれば幸いです。

また、錦鯉の診療所サイト内には「薬品計量ツール」を導入しており、飼育水槽のサイズを測るだけで薬品の使用量を簡単に算出することができます。
皆様がよりよいアクアライフをおくれるように今後も情報提供に努めてまいります。

錦鯉の病気について

そもそも魚って病気になるの?

魚も病気になります。魚が病気になる過程は、私達人間が病気になる時と同じです。
ストレス、免疫力の低下、病原体との接触などによって起こります。

魚は言葉で病気を伝えることができないのはもちろんのこと、診ることのできる獣医師も限られることから、飼育者が病状を判断し、適切な“観賞魚治療薬”を使用することが必要です。

魚の病気って何?

病気は大きく3タイプに分けられます。

1つ目は病原体(ウイルスやバクテリア、寄生虫)による病気です。魚で知られている病原体の種類は優に百を超えますが、このサイトでは錦鯉で起こる病気を中心に掲載しています。
2つ目は飼育環境に起因する病気です。水質、エサなどがこれにあたります。環境要因とも呼ばれます。
3つ目は体質、品種など、遺伝的に起こる病気です。
観賞魚治療薬で治療することができるのは、病原体による病気になります。

病気を防ぐにはどうしたらいいの?

私達人間を例としてあげると、インフルエンザウイルスやコロナウイルスに感染した人と一緒に生活をしていた場合、ウイルスに感染するリスクが高くなります。
他にも、傷口を消毒せずにいたら膿んでしまったり、偏った食生活をしていたり、ゴミの溜まった部屋で生活したり、急に冷水を浴びせられた場合、体調を崩してしまうと思います。

錦鯉も同様に病気の要因となるものがあります。主なものとして、病気の魚を持ち込む、スレ傷、悪くなったエサを与える、水質の悪化、急激な温度変化、過密飼育などです。

飼育者が、病気の要因となるようなポイントを抑えて適切な環境で飼育することを心掛けてください。
日常の管理をしっかり行うことで、もし病気が発生したときでも、早期に発見ができ、治療も比較的容易に行うことができます。



錦鯉の健康管理

■ 産卵と毛仔の健康管理

体のベースを作る初期飼料

初期飼料は孵化から1~2ヶ月ぐらい成長にあわせて粉状のものから徐々に大きくしていきます。稚魚の餌として摂餌効率を考えるとミジンコがよいという生産者さんは多くいますが、初期に体を作ることの重要性を考えると栄養バランスの優れた初期飼料を与えることがおすすすめです。人間で例えると乳児期にミルクはその後の成長に影響を及ぼす可能性もあるので品質を重視するかと思います。錦鯉も毛仔の時にこそしっかりと栄養を摂取し丈夫で健康な体を作っていくことが重要と考えています。毛仔期から稚魚期に作られた体はベースとなり、結果として骨格形成や内臓形成に役立ちます。

■ 春の健康管理<3月~4月>

暖かくなってきてからの餌のやり始めは、餌を切っていた場合は消化機能が低下しているので水温と錦鯉の体調を観察しながら徐々に餌の量や回数を増やしていくようにします。餌を急にたくさんあげると体調を崩しやすくなります。そのために冬場に少しでもあげているという生産者さんもいます。
餌をやり始める目安の水温は15℃ぐらいです。最初は消化吸収に優れた餌を与えるのがおすすめです。18℃を超えてきて問題ないようであれば通常の給餌に戻していきます。
病原体も徐々に活発になってくるのでその前に濾過槽の掃除や換水もしておきます。

■ 梅雨時期の健康管理<6月~7月>

梅雨、病気が発生しやすいのはなぜか?

梅雨に病気が発生しやすい大きな要因は水温と水質の変化です。これにより錦鯉が体調を崩し病気になります。大雨が降ると屋外飼育の場合、大量の水が入れ替わります。野池や水槽でも同じことですが、飼育している水量が少ない飼育環境ほどその変化は速く大きいです。安易に考えられがちですが屋外飼育の水槽やFRP水槽の場合、フタや屋根などは意外に重要です。
病原体も梅雨の時期18℃から20℃前半の水温帯は最も活発になります。

■ 夏の健康管理<8月~9月>

水温が28℃を超えてくるとウイルス性疾病はほとんどでなくなります。一年でも病気になりにくい季節です。
この時期の飼育で一番気を付けなければならないのは水質です。最近の餌は各社プロバイオティクス成分が入っているので糞の分解を助けたり、水の汚れを防いでくれますが、餌の与えすぎにより食べ残しがあると当然水質は悪くなります。
濾過槽の掃除も重要です。洗いすぎはよくないですが、夏の時期は給餌量も増え排泄物の量も他の季節に比べ格段に多いので、飼育環境にもよりますが週1回、最低でも月に1、2回は必要になります。

大きく育てる給餌方法

昔は当歳魚は魚体重の3%を1日2回、多年魚の場合は魚体重の2%を1日2回というのが一般的でしたが、最近は2回よりも3回、3回よりも6回というように分けて与えた方が給餌効率がよく、大きく育てることができるとわかっています。複数回に分けて与えるというのは、消化し終わったタイミングでまた与えるということです。
日が昇ってから落ちるまで、6回前後、それ以上あげている生産者さんもいます。

■ 秋の健康管理<10月~11月>

気温が下がってきて錦鯉にとっても過ごしやすく餌食いがよくなってくる季節です。ついつい餌をあげすぎてしまうのでやりすぎには注意が必要です。
品評会の多い時期でもあり、品評会の数日前には餌を切るようにします。

秋の病気

錦鯉が過ごしやすい水温は病原体にとっても過ごしやすい季節になります。水温が28℃を切ってくると、ウイルス、バクテリア、寄生虫などが活発になります。春も同じような水温帯ですが、どちらがより注意が必要かというと「秋」です。錦鯉は水温が上がる変化よりも水温が下がる変化に弱いと言われています。暑くなって25℃が28℃になるよりも、雨などで28℃の水温が25℃に下がる方がリスクが大きいです。
環境の変化で体調を崩した鯉は病気にかかりやすくなります。

魚の移動

病気の対策にはまず病原体を持ち込まないことが重要になります。池揚げは外部環境から病原体を持ち込んでしまうリスクが高い場面でもあり、錦鯉にとっても急に環境が変わるのでストレスがかかります。池揚げ後に体調を崩して病気になってしまったというのはよくある話です。過マンガン酸で消毒をする生産者さんが多いですが、体表への影響も少なくないので、粘膜サポート成分を含んだ餌を使用してサポートするのがおすすめです。

■ 冬の健康管理<12月~2月>

加温しない場合 餌はやる? やらない?

加温している場合はそれなりに餌を与えられますが、実際に加温飼育できる方は限られます。
これはプロの鯉屋さんでも意見が分かれるところです。

餌をやらない派

餌を完全に切って春先から少しずつ与えます。
自然に近い状態でもあり、ある程度の飢餓状態を経験させた方が結果的に餌をよく食べるようになるという考えです。
初心者の方は暖かくなった日に一気にあげてしまい失敗することが多いので注意してください。

餌をやる派

春の品評会に向けての準備と春先のトラブルを減らすために与えます。
春の品評会に出品することを考え、秋まで体を作って色を揚げてきた錦鯉が冬の間に体型や色が落ちてしまうと品評会に間に合わなくなってしまうので維持することを目的としてほんの数粒(1~2粒)でも与えます。
魚はお腹が減ると自分の筋肉や脂肪を分解していきます。冬場は元々動きが鈍くエネルギー消費量が少ないため筋肉量は減りにくくなりますが、動く時のエネルギー源が多少はあった方がよいという解釈です。
また、春先から急に餌をあげてトラブルになるよりも、少しでも与えて内臓を動かしていた方が春先でのトラブルが発生しにくくなるという目的で与えます。最近の暖かくなったかと思えば急に寒くなったりするような不安定な日本の天候から、トラブル防止のため加温しない環境でもチョロチョロと餌を与える人が増えてきています。
餌をあげる場合は昼間(10時~15時ぐらい)水温が高くなる時間帯に水温と錦鯉の状態を見ながら与えます。夕方から明け方までは代謝が下がっているので絶対にあげないようにしてください。

冬の病気

冬場は水温が低くなるので病気のリスクは低くなりますが、低水温になったときに発生しやすくなる「乳頭腫症」や「眠り病(CEV)」には注意が必要です。昇温処理や塩水浴での防疫対策も可能ですが、これらはウイルス系の病気なので免疫を高いレベルでキープするのも重要な対策になります。免疫維持成分が配合された餌を与えて健康状態を良好に保つのがおすすめです。


『 錦鯉の診療所 』の記載内容は、病気発症時の治療方法を説明しているものであり、説明通りに魚の治療を行ったとしても100%治療できる・完治することをお約束するものではございません。症状の進行具合により、治療が間に合わない場合がございますことを予めご了承ください。
病気を早く治すためには、早期発見・早期治療が大切です。日頃から魚の様子をチェックし早めに対処するように心がけましょう。

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